結婚式の撮影で単焦点しか使わない理由
結婚式の撮影では色々なシーンがあり、その都度状況によってカメラの設定やレンズを交換して撮影しています。
レンズを交換しないで撮影していけば、ロスが少なくて撮りたい写真そのまま残せるんじゃない?と思う方もいらっしゃるでしょう。
確かにレンズを交換しない方がずっと撮影に集中することができるので、撮影できる枚数は多くなるかもしれません。
しかし、その写真にクオリティが伴っていなければ、一生に一度の大イベントを任せて頂けた新郎新婦には失礼にあたってしまいます。
自分自身、撮影では集合写真以外は全て単焦点レンズというズームができないレンズで撮影しております。
その理由としては、大きく3つあります。
- 明るく撮れる
- ボケを生かした写真が撮れる
- 距離感がつかめる
今回、単焦点レンズを使う理由やこだわりについてまとめていければと思います。
単焦点レンズのメリット
明るく撮れる
まず大きなメリットとして、明るく撮影できるという点があります。
明るく撮影できるというだけでは意味がわからないと思いますので、簡単に説明していきます。
レンズには「絞り」というものがあり、この大きさで光を取り込める量が決まってきます。
この絞りという光を取り込む道が狭ければ狭いほど、光を取り込むことは難しくなってしまい、
逆に広ければ広いほど多く光を取り込むことができます。
その絞りを表している数字が「F◯◯」という数字になります。
このF◯◯の数字が小さければ小さいほど、光を取り込む道は広く、逆に数字が大きければ大きいほど光を取り込む道は狭くなってしまいます。
単焦点レンズはこの数字がF1.2であったり、F1.4、F1.8という数字になっていることが多く、ズームレンズだとF4.0とかF5.6といった数字になっています。
カメラ本体の性能が全く一緒、設定も全く一緒のでレンズだけが違う場合、このレンズのF◯◯という数字によって明るさが変わってきます。
細かく説明するとややこしくなってしまうので、明るく撮影できるメリットを簡単にお伝えします。
F◯◯の数字が小さければ小さいほど、シャッタースピードを早くすることができますので、新郎新婦が歩いているシーンや動きがあるシーンではブレずに撮影しやすくなります。
また、披露宴会場や二次会会場は暗いことが多いです。
少しでも明るさを稼げることで、ザラザラ感のない綺麗な写真が残せるようになります。
ストロボ(フラッシュ)を使えば、明るく撮影することは可能です。
ただ、Aire worksはその場の空気感を残すことに注力しています。
暗い場所を照らして全く雰囲気のかわった写真を残してはいません。
あくまで補助的にうっすらと使う程度です。
ボケを生かした写真が撮れる
F◯◯という数字が小さければ小さいほど、ボケやすく、大きければ大きいほどボケにくいという特徴があります。
結婚式では新郎新婦とカメラマンの間に「何も無い」ということはほぼありません。
ゲストの方だったり、テーブル装花など何かが新郎新婦とカメラマンの間に入ってしまうことがあります。
ここをそのまま撮影してしまうと、写真全体がごちゃごちゃしてしまいます。
そういった写真も良いときもありますが、写真を見たときに新郎新婦やゲストの方にちゃんと視線がいくようにしたいと考えています。
普通に撮影すると障害になってしまう要素もボカすことができれば、アクセントに変えることができます。
なんでもかんでもボカせば良いというわけではなく、そのときの状況によって考えてどう撮影するのか決めております。
ボカせるレンズとボカせないレンズであれば、ボカせるレンズのほうが表現の幅が広がりますので、単焦点レンズを選んで使っています。
距離感がつかめる
ズームレンズを使って撮影していると、自分は動かなくても寄れたり、離れたりして撮影できるメリットがあります。ただ自分は動かないので新郎新婦との距離感が掴みにくくなります。
離れていると思っていても、実はもう近くまで来ていたり、近いと思っていても結構遠くいることもあります。
カメラのファインダーをのぞいていると、見れる範囲が狭くなってしまうので、普段よりも距離感が掴みづらくなってしまいます。
距離感がわからなくなってしまうと、次の新郎新婦の動きを予測して移動することもワンテンポ遅れてしまいます。
ワンテンポ遅れてしまうと、良い瞬間があったとしても撮り逃してしまう可能性が高まってしまうため、結婚式の撮影では距離感を常に把握しておく必要があります。
距離感を常に把握して、次の動きにあわせて早く動くためにも単焦点を使っております。
単焦点の難しさ
メリットがあるから単焦点レンズを使っていますが、単焦点レンズをつけているから全てがうまく撮影できるかというと、そういうわけではありません。
考えること、予測することが多い
使う単焦点のレンズの距離感を知っていないと結局距離感を掴めません。
自分が移動しないと撮れる範囲が変わりませんので、単焦点レンズの映る範囲と距離感をあらかじめ知って慣れておく必要があります。
そのため、すぐに単焦点をすぐに使ったからといって、撮りたい写真が撮れるようにはなりません。
自分が動かないとズームもできないし、引くこともできないので、距離感を知った上で自分がどこをどうすれば、スムーズに動けるのか周囲の状況を把握しておく必要もあります。
ズームレンズであれば、動かなくても撮影できる範囲を変えることができます。
ですのでそこまで周囲の状況や自分の動線などについて考えなくても良いと思います。
とくに結婚式の撮影だと、新郎新婦の動線、ゲストの動線、スタッフの動線、自分の動線、色々な動きがある中で、全てを把握して予想しておかないと、スムーズに移動することは難しいです。
気をつけておかないとぶつかったり、動線が被って移動できなかったりしてしまいます。
単焦点レンズを使うこと自体は難しく無いですが、それ以外での面で難しいことが多いので、使う際にはそのあたりもよく考えて撮影してもらえればと思います。
レンズ交換の手間がかかる
単焦点レンズは撮影できる範囲が決まってしまっているので違う範囲を撮影したいと思ったら、その都度レンズを変える必要があります。
レンズ交換も慣れていないと時間がかかってしまいますので、交換することにも慣れておく必要があります。
また交換するタイミングを間違えると、大事なシーンに交換していて撮れなかったということになってしまうこともあります。
プロはそういったことがないように、進行を把握しております。
荷物が増える
ズームレンズを使えば2本で足りるレンズも、単焦点だと何本ももっていく必要があるので、荷物が増えてしまいます。
結婚式で使うズームレンズは24-105というレンズと、70-200というレンズがあれば一通り全て撮影できます。
単焦点レンズで考えると自分の場合は20、35、50、85という4本のレンズは最低でももっていきますので、荷物の量でいくと倍になってしまいます。
まとめ
結婚式の撮影では、目の前に何か障害があったとしても、ボケを生かして写真に残したり、その場の空気感を重視して残すために、明るくてボケやすい単焦点レンズを使っています。
ズームレンズを使わない不便さや、考えなくてはいけない場面も多くでてきます。
ただ新郎新婦やゲストの方の距離感を大事にしつつドキュメンタリーとして残すには単焦点レンズが優れておりますので、今後も単焦点レンズをメインに撮影を進めていきます。
何か不安なことや気になることがあれば、こちらのコンタクトページもしくはLINE@からお気軽にご連絡ください。